24時間テレビよ、お前もか―― テレビスタッフの「泣きの押し売り」ロングマラソン

出典:24時間テレビ 愛は地球を救う 日本テレビ
出典:24時間テレビ 愛は地球を救う 日本テレビ

いまや夏の風物詩となった「24時間テレビ」。日本テレビ系「24時間テレビ 愛は地球を救う」とフジテレビ系「FNS27時間テレビ」が抱える「視聴者とのズレ」をコラムニストのキタサヤカ氏が読み解く――

代わり映えしない内容

8月22日から23日にかけて、日本テレビ系列で「24時間テレビ38 愛は地球を救う」が放送されている。相変わらず、おなじみの黄色いTシャツ着用のタレントが画面を埋め尽くし、去年と代わり映えしない印象。V6とHey! Say! JUMPの世代の異なるジャニーズタレントをメインパーソナリティーに起用し、深夜には嵐も加えての出演で、広い世代のジャニーズファンの支持を得ようとしていることが特徴と言えるだろう。

恒例の日本武道館目指してのマラソンは歌手のDAIGOが担当。先立って放送されたフジテレビ系列「FNS27時間テレビ」でのマラソンは大久保佳代子。正直、視聴者にとっては今年の長時間テレビのマラソン担当者ふたりが、入れ替わってもさして大差ない。

押し付けがましい「誘い泣き」

「24時間テレビ」内に並べられた感動ものコンテンツ並びには、予測されていたとはいえ辟易するばかりだ。しかも、感動ものが視聴者に「泣け」と言わんばかりの演出と来ている。そのためにスタジオの出演者たちが先陣切ってまず泣いてみせるのにもうんざりさせられる。一般的にお笑いバラエティ番組では、テレビを見ている視聴者に向けて笑い引き起こすために、出演者が先に爆笑してみせる「誘い笑い」がよく行われているが、「24時間テレビ」では「誘い泣き」が前面に出過ぎていて押し付けがましいことこの上ない。

それにしても、チャリティ番組である「24時間テレビ」が一定程度、視聴者に対して感動の押し売りすることは想定済みだが、先日の「FNS27時間テレビ」の笑いの押し付けの激しさは印象に残るものだった。加えて、「24時間テレビ」を見る視聴者の多くは、感動を求めてチャンネルを合わせ、それに向けて感動のお膳立てがされているのだから、ある程度満足もできるだろう。対して、「FNS27時間テレビ」を見た視聴者は、自分が自由に楽しもうと期待の上でリモコンボタン“8”を押したら、まさか笑いを押し売られるとは思わなかっただろう。

「24時間テレビ」と「27時間テレビ」が揃って示したのは「視聴者を完全にコントロールしたい」制作サイドと「自由なスタンスで楽しみたい」視聴者とのズレである。

「ここで笑え」と求める“昔ながらのやり方”

今年の27時間テレビでは、制作スタッフが前もって「ここで笑え」と視聴者に求める、昔ながらのフジテレビのやり方が前面に出ていた。「超人気お笑い芸人 本気のプレゼン大会TED」のコーナーでは、芸人が「本気」のプレゼンを行い、子役の少年がまとめを行って感動的なムードになったところで、加藤浩次がキレて割って入り乱闘、最後は子役の口からバンジージャンプが宣告されショックを受ける加藤という、何度も目にしたお決まりの展開。

こういった演出に「視聴者はここで笑うべき」というフジテレビの考え方が集約されている。例えば、時間の都合のため途中でさえぎられてしまい、準備してきたプレゼンをやり切れず悔しそうな劇団ひとり。視聴者としては、はたしてスタッフの進行台本通りの展開と、芸人が表現したかった内容とどちらが見たいだろうか。終始、番組では「視聴者の笑いどころ」をコントロールするための筋書きばかりが目立った。

「スタッフ主導」の押し付けがましさ

近年テレビ離れが叫ばれて久しい。それを受けて、「”テレビの危機”を救い、テレビは楽しいという本来の姿を自らの行動で示していく」ことをスローガンに放送したのが「FNS27時間テレビ」だったのだが、結局は「スタッフ主導の面白さ」を押し付け、視聴者がテレビに対して変化を求めているのに全く気づいていない事が明白になった。

現在、視聴者に人気のある番組は、ある種「ゆるい」番組である。例えば来日した外国人のドキュメンタリー「Youは何しに日本へ?」は偶然性に大きく左右されるものであるし、人気タレント出演のバラエティでも、「マツコの知らない世界」はゲストが特定ジャンルの専門家の一般人であったり、トーク内容の先が読めないものが好まれる傾向にあるだろう。この夏の2つの24時間型番組は、相変わらずのスタッフの筋書き通りで、こういった視聴者のニーズに逆行する方向に走っている。

生放送とはいえ、涙と笑いのクライマックスから大団円を迎えるのが24時間型番組のお定まりだが、はたしてテレビそのものには何が待ち受けているのか。こればかりは台本通りには行かないようだ。ひとまず「24時間テレビ」にどのようなオチがつくのか見守りたい。

文・キタサヤカ(芸人・コラムニスト)
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