yumomomo連載コラム「カラーで生きる」 第5回「いちごかわいい」

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 日用雑貨クリエーターのyumomomoさんによる連載コラム「カラーで生きる」。本連載ではyumomomoさんが独自の視点で様々な色について描き、毎週金曜日にお届けします。第5回は「いちごかわいい」――

第5回 「いちごかわいい」

  いちごの赤って、かわいいですよね。っていうか、いちごってかわいいですよね。なしてあげなにかわいかろ。
 見てよし、食べてよし。あの赤い色も濃くて熟してるって感じですごくいい。まるで宝石みたい。ふさふさみどり色のかつらをかぶって、お出かけみたい。口にふくんだときの、ジュウッとしたジューシーさ、たまらない。
 いちごのモチーフにもたまらないかわいさがある。たとえばいちごの形をした、ちいちゃいピアス。かわいい。フェルト生地で作ったいちごのキーホルダー。かわいい。白いマグカップに描かれたいちごのイラスト。かわいい。
 子どものころに、母と一緒にいちごのジャムを作った覚えが何度もある。そのせいでわたしはジャムやママレードなら本を見なくても作れるようになった。いちごのジャムを作っている時の、あの灰汁の多さ。多すぎる。でもていねいに灰汁をとる。でないとおいしそうに澄んだジャムは作れない。オレンジや他の果実なら灰汁はいちごほどは出ない。いちごはすごい量の灰汁が出る。いちごのジャムを作るのはほんとうに骨が折れる作業なのだ。でもがんばってちょいちょい灰汁をぬく作業をし尽くしたあとのいちごジャムは、澄んできらきらして、小さめのビンにつめてルビーでできたジュエリーケースみたい。
 去年の桜の花見のとき、友人たちのひとりが桜の下でシャンパンとともにいちごをふるまった。はらはら散る桜と、きらきら光るシャンパン、そして小ぶりないちごは、ここまで似合うものかというきれいさとかわいさだった。誰のアイディアか忘れたが、なかなかの思いつきじゃないかと思った。しかもかなりいいアイディア。こんなことをふたりのときにされたらその人のことを好きになってしまいそう。
 わたしはちゃっかり、その人のことを好きになってしまった。いちごにシャンパンで花見なんて、なかなかいかしてる。
 「これ、いいですね」わたしはその人に言った。
そしたらその人も言った。「いいでしょう。わたしもいいと思ってるんですよ。何年か前の花見のときにこれをやった人がいて、それのマネなんですけど、まあそのひとはわたしのことを好きだったと思ってるんですけど。こんなことをされたら、好きになっちゃうでしょう」
わたしはうなずいた。あなたのことをわたしは好きになっちゃいましたよ、と、それは言わずに。
今年もいちごの季節がきて、それから追うように桜の時期がもうじき来る。また大勢で花見をするだろう。あの人も来るだろうか。そしたら、いちごってメチャクチャかわいいですよねっていう話でもしてみようかな。

yumomomo(日用雑貨クリエーター)

【お知らせ】
本コラムの筆者であるyumomomoさんが、先日、自身の作品を展示・販売するネットショップ「MIDORI」をオープンしました。コラムとあわせてご覧ください。
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