酒鬼薔薇事件『絶歌』の作者を「元少年A」と呼んではいけない(賀茂徹)

出典:太田出版
出典:太田出版

10日発売の「週刊文春」と「週刊新潮」が報じた「神戸連続児童殺傷事件」加害者による「元少年A 公式ホームページ」の開設。ネットでも大きく取り上げられ波紋を呼んでいる同テーマに関して、気鋭のコメンテーター・賀茂徹氏がコラム「酒鬼薔薇事件『絶歌』の作者を『元少年A』と呼んではいけない」を本サイトに寄稿。以下、全文を掲載する――

異例の“ヒット作”

今年6月に太田出版から刊行された『絶歌』。1997年に神戸市須磨区で2名が死亡し、3名が重軽傷を負った事件の加害者による手記であるこの本は、増刷を重ね、累計販売部数25万部に達する異例の“ヒット作”となった。

この本の作者のペンネームは「元少年A」。事件発生時に未成年者であったことから「少年A」と報じられ、成人後には事件が取り沙汰される度「元少年A」とマスコミが報じていたことに由来している。

まず、まっとうな感覚を持った人間なら「手記を出したり、サイトで情報発信する前にやることがある」と思うだろう。案の定、「被害者と被害者親族に詫びる気持ち」がすっぽり抜け落ちた「元加害者ビジネス」ともいえる『絶歌』の出版に批判が集まった。

さらに、この人は「元少年A 公式ホームページ」なるサイトまで開設。「週刊文春」や「週刊新潮」に送った手紙では、これからはサイトで情報発信を行うと宣言している。

「元少年A」を名乗る自体がおかしい

今回のコラムで言いたいのは、そもそもの話、彼が「元少年A」を名乗っていること自体がおかしくないか?ということだ。ネットやテレビのニュースでも「元少年Aが公式ホームページ開設」とか言って、この呼び方をあっさり受け入れてしまっている。この現状を僕は、彼の思うツボだと指摘するとともに、軽率な各メディアに猛省を促したい次第だ。

彼が自分自身を「元少年A」を名乗ることがどれだけフザケた話なのか、断じて「『絶歌』の作者を『元少年A』と呼んではいけない」と声を大にして言いたい。

「モンスター」を表す記号?

『絶歌』の冒頭を部分を引用する。

「『少年A』――それが僕の代名詞となった。僕はもはや地の通ったひとりの人間ではなく、無機質な『記号』になった。それは多くの人にとって『少年犯罪』を表す記号であり、自分たちとは別世界に棲む、人間的な感情のカケラもない、不気味で、おどろおどろしい『モンスター』を表す記号だった」(『絶歌』p6)

著者は「少年A」という呼び名について「おどろおどろしい『モンスター』を表す記号」だと言っているけど、バカも休み休み言えって話だ。君がモンスターだから「少年A」になったんじゃなくて、世間では少年法上、あくまでも便宜的に「少年A」と呼んでるの!うまい棒を万引きした小学生も「少年A」には違いないけど、誰もモンスターとは恐れないっての。ひっでえこじつけだ。

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