【セミナーレポート】知っておきたい「コロナウイルス感染拡大下での慢性腎臓病」
2021年3月9日実施「慢性腎臓病(CKD)プレスセミナー」より

 いまだ収束の見通しが立たず、社会全体に甚大な影響を及ぼしている新型コロナウイルス。

 感染予防対策が個々人に求められるなか、とりわけシビアな対応を迫られているのが、感染・重症化リスクが高いとされる慢性腎臓病(CKD)に罹患している患者と治療に従事する医療関係者だ。

「コロナウイルス感染拡大下での慢性腎臓病(CKD)プレスセミナー」

 こうした状況下、2021年3月9日にNPO法人 日本腎臓病協会協和キリン株式会社の共催で「コロナウイルス感染拡大下での慢性腎臓病(CKD)プレスセミナー」が開催。コロナウイルス感染拡大下における慢性腎臓病の現状や疾患予防の重要性についての講演がオンラインで行われた。

 冒頭、このセミナーの司会を務めた東京女子医科大学医学部腎臓内科学教授の内田啓子先生による慢性腎臓病の概要説明が行われ、「慢性腎臓病とは腎障害、腎機能の低下のいずれか、または両方が3ヶ月以上続いている状態であること」といった基礎知識について語られた。

「コロナウイルス感染拡大下の慢性腎臓病治療の現状について」

 次いで東京大学大学院医学系研究科腎臓・内分泌内科教授の南学正臣先生による「コロナウイルス感染拡大下の慢性腎臓病治療の現状について」と題した講演。

 昨年10月から11月に実施された日本腎臓学会認定教育施設704施設へのアンケート調査による「転院先の調整に難渋した経験」や「診療上の不都合」「病院運営上の不都合」など、コロナ禍で慢性腎臓病治療が抱える課題が提示された。

「コロナウイルス感染拡大下での血液透析医療の現状について」

 また、医療法人社団豊済会理事長下落合クリニック院長の菊地勘先による講演「コロナウイルス感染拡大下での血液透析医療の現状について」では「透析患者はなぜ感染症に罹患しやすいのか」「透析患者における新型コロナ感染者の特徴」といった血液透析患者の切迫した状況を解説。

「透析患者には中等症Ⅱ以上の重症者が多く、致死率も効率であること」から「ガイドラインを基にした感染対策」の徹底と「ワクチンの積極的な接種の重要性」が語られた。

「日本腎臓病協会の活動と意義について」

 最後に行われたのがNPO法人日本腎臓病協会理事長で川崎医科大学副学長腎臓・高血圧内科学主任教授の柏原直樹先生による「日本腎臓病協会の活動と意義について」と題した講演。

 慢性腎臓病の予防と早期発見、診療連携体制の構築、薬剤・診断法・機器開発支援のプラットフォーム構築、腎臓病療養指導士の育成、各腎臓病患者会との連携・交流、意見交換といった同会が注力する事業についての説明が行われた。

日本腎臓病協会と協和キリンによる「DIAMOND Project」

 今回のセミナーは、2019年に日本腎臓病協会と協和キリンが締結した「腎臓病の疾患啓発活動に関する連携協定」を基とした啓発活動「DIAMOND Project」によるもの。

 3月11日の「世界腎臓デー(World Kidney Day)」を前に、コロナ禍において共有すべき課題が明確に提示されるセミナーとなった。

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