サントリーウエルネスは12月4日、第3回「人生100年時代の物語大賞」授賞式を開催した。本イベントは、高齢者施設の入居者がJリーグクラブのサポーター活動を通じて、普段の「支えられる側」から「支える側」へと回るプロジェクト「Be supporters!(Beサポ!)」の一環として実施されたものだ。
今回は全国の参加施設から寄せられた36のエピソードに対し、審査員選考および1万1218人の一般投票を経て、グランプリにあたる各賞が決定した。
91歳のサポーターと選手の絆が大賞に
最高賞であるゴールド賞を受賞したのは、山口県山口市のデイサービスセンター「はるかぜの丘」による『あきらめない91歳、転んでも立ち上がるヨシコさんの物語』である。
91歳のヨシコさんがレノファ山口FCの松田選手を「推し」として応援し、その交流を通じて驚くべき活力を得ていく過程が評価された。登壇した施設職員の安立誠氏は、「ヨシコさんともっと楽しみたいというスタッフの想いから始まった活動が、選手との絆を結び、本人に活力を与えた」と語った。ヨシコさんが自ら松田選手を「今年はこの子」と選んだエピソードや、実際の来訪時に見せた家族のような距離感が、審査員や会場の涙を誘った。
応援がもたらす介護現場の変化
シルバー賞には、川崎フロンターレを応援する91歳の阿部ふじ子さんと社会福祉法人セイワ(神奈川県川崎市)の『応援の魔法がもたらした、介護現場での驚きの変化』が選ばれた。当初は引っ込み思案だった阿部さんが、サポーター活動を通じてスタジアムで声援を送るようになり、社会との関わりを深めていく様子が描かれている。
ブロンズ賞は、横浜FCを応援した植竹亜代さん(79歳)とReHOPE東戸塚(神奈川県横浜市)の『4年ぶりに外の世界へ~植竹さんが教えてくれたこと~』が受賞。また、職員賞にはSOMPOケア ラヴィーレ久地の横山雅裕氏が選出されている。
会場にはJリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏がサプライズゲストとして登場。「スポーツを通じた地域社会への貢献が、このような温かい形で具現化されている」と感極まった様子でコメントした。
「幸福寿命」を延ばす鍵
第2部では「幸福寿命~人生100年時代を幸せに生きるヒント~」と題したトークセッションが行われた。同社は、身体的な制約の有無に関わらず、最期まで前向きに幸せを感じられる期間を「幸福寿命」と定義している。
トークセッションには、お笑い芸人の安藤なつ氏、作家の岸田奈美氏、東京都健康長寿医療センター研究所の藤原佳典氏らが登壇。岸田氏は「自分が楽しくて健やかなのがいちばん」と語り、まず自分が楽しむことが周囲を助けるエネルギーになると提言した。また、藤原氏は「感謝・寛容・感激」の3要素を幸福寿命の羅針盤として挙げた。
「Be supporters!」は2021年に開始され、2024年12月時点で参加者は全国約230施設、延べ1万人に拡大している。