EUワインの多様性を再認識 JFEX 2026で中東欧・北欧4産地をテイスティング

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JFEX 2026のEUワインイベント会場全景

欧州連合(EU)は6月25日、東京ビッグサイトで開かれた「JFEX 国際食品・飲料商談Week」の会場で、メディアイベント「知られざるヨーロッパ ― EUワインの多様性を探る」を開催した。ルーマニア、デンマーク、スロヴェニア、クロアチアの4産地をテイスティングに取り上げ、日本で語られることの多い西欧の銘醸地とは別の角度から、EUワインの広がりを示した。

東京ビッグサイトのJFEX会場で開かれたEUワインのメディアイベント。多くの関係者がセミナーとテイスティングに訪れた。

産地の地図を広げる4銘柄

テイスティングで用意されたのは、クロアチア・スラヴォニアのスパークリングワイン、デンマーク・シェラン島の白ワイン、ルーマニア・フシのロゼ、スロヴェニア・ヴィパヴァ渓谷の赤ワインである。海に近い北欧の産地から、黒海に近いルーマニア、アドリア海とアルプスの間に位置するスロヴェニア、バルカン半島のクロアチアまで、気候と土壌、栽培の歴史が異なる地域を一度に比較できる構成だった。

クロアチア、デンマーク、ルーマニア、スロヴェニアの4本のEUワイン
テイスティングにはクロアチア、デンマーク、ルーマニア、スロヴェニアの4銘柄が並んだ。

EUワインといえばフランス、イタリア、スペインを想起しやすい。しかしEU域内には、それぞれの地域に根差した品種や醸造文化があり、近年は冷涼地での栽培拡大や小規模生産者による新しい試みも目立つ。今回の4銘柄は、そうした多層的な産地像を味覚からたどる入口になった。

品質表示と持続可能性を市場の文脈で解説

駐日欧州連合代表部の小林恵氏は、日本市場におけるEUワインの動向とともに、産地表示、品質保証、持続可能性をめぐるEUの考え方を紹介した。会場では、地理的表示を含む品質の枠組みを、単にラベル上の情報ではなく、産地の個性や生産の背景を読み解く手がかりとして捉える視点が示された。

EUワインの市場動向を解説する小林恵氏
駐日欧州連合代表部の小林恵氏が、日本市場の動向とEUの取り組みを解説した。

輸入ワインの選択肢が広がるなかで、産地名だけでは味わいを判断しにくい局面も増えている。気候、品種、醸造、認証といった情報をどう読み、食卓での組み合わせまでつなげるか。セミナーは、ワインを商品として見るだけでなく、その背後にある生産地の条件と制度を理解する場にもなった。

日本の食卓へつなぐテイスティング

テイスティング・デモンストレーションを担当したのは、ミシュラン星付きレストランでの経験を持つソムリエの齋藤奈紀氏である。4銘柄について、産地や品種、味わいの方向性を解説しながら、日本の食文化との組み合わせを考える時間となった。

4銘柄を前にテイスティングを解説する齋藤奈紀氏
齋藤奈紀氏は4銘柄の特徴を紹介し、日本の食卓との組み合わせを提案した。

並んだグラスを前にすると、白、ロゼ、赤、スパークリングという色調の違いだけでなく、酸、香り、口当たりの幅も見えてくる。会場では、地域名の知名度だけに頼らず、料理との相性から産地を選ぶという考え方が印象に残った。魚介や発酵食品、野菜料理など、味の層が細かい日本の食事は、多様なEUワインを試す余地を広げる。

商談会場で交わる、産地と食の対話

イベントは、食品・飲料の商談会という実務の場で開かれた。ボトルを並べ、グラスに注ぎ、産地と品種の話を聞くという一連の体験は、輸入・流通・飲食の担当者にとって、カタログだけではつかみにくい商品の輪郭を確かめる機会になる。

今回取り上げられた4産地は、EUワインの中心を置き換えるものではない。むしろ、よく知られた銘醸地の外側にも、気候変動への対応、地域固有の品種、食文化との接点といった論点があることを示す。ワインの選択肢が増えるほど、産地の名前を覚えるだけでは足りない。どの土地で、どのようにつくられ、どんな料理と向き合うのか。その問いを具体的にするイベントとなった。