生成AI特集 / 3社の動向 / 2026年9月14日確認
OpenAIの生成AIを選ぶとき、「いちばん新しいGPTを使えばよい」という考え方だけでは、費用も運用も決められなくなっている。2026年9月14日時点のモデル一覧には、難しい推論や開発を担うGPT-6 Astraと、用途や処理量に応じて選ぶGPT-5.6のSol、Terra、Lunaが並ぶ。その上に、対話や資料作成を行うChatGPT、開発作業を進めるCodex、自社システムから呼び出すAPIという異なる利用経路がある。
モデルは処理を担うエンジンであり、サービスはそれを仕事に組み込むための環境である。この二つを分けると、新モデルのニュースを、自分の業務に必要な変化として読み直せる。
Astraを基準に、すべての仕事を組まない
GPT-6 Astraは、OpenAIが複雑な推論、コーディング、調査、文書作業などに向けた最上位モデルとして位置づけるものだ。APIでは最大105万トークンのコンテキストと12万8,000トークンの出力に対応する。長い資料を渡せることと、資料の全項目を誤りなく検証できることは同義ではないが、複数の資料や作業履歴を扱う設計の余地は広がる。
例えば、取引先から届いた仕様書、過去の改修履歴、テスト結果を突き合わせて問題点を洗い出す作業なら、高い処理能力を試す理由がある。一方、問い合わせの分類や、定型データから短い説明文を作る処理では、より軽量なモデルでも必要な品質に達する可能性がある。最高性能に統一する前に、どの工程で失敗が起きているかを確認すべきである。
| 層 | 主な選択肢 | 選定で確認すること |
|---|---|---|
| モデル | GPT-6 Astra/GPT-5.6 Sol・Terra・Luna | 難易度、応答時間、出力品質、単価 |
| 作業サービス | ChatGPT/Codex | 資料やコードの受け渡し、確認・修正のしやすさ |
| 組み込み | OpenAI API | 処理量、権限、ログ、費用上限、障害時の代替経路 |
Sol・Terra・Lunaは、下位互換ではなく配分の選択肢
GPT-5.6にはSol、Terra、Lunaという選択肢がある。公式資料では、Solを日常的な幅広い作業、Terraを性能と効率のバランス、Lunaを軽量・大量処理の用途に位置づけている。ただし、こうした説明は提供元による想定である。日本語の固有名詞や社内様式への適合まで保証するものではない。
実務では、まず同じ20~30件の作業を複数モデルで処理させる。誤りの数だけでなく、担当者が修正した時間、必要な追加指示、待ち時間を記録する。そこで通らなかった仕事だけを上位モデルに回す構成なら、上位モデルの価値を測りやすい。「小さいモデルで下処理、大きいモデルで最終確認」という構成も、最終確認が本当に誤りを拾うかを検証して初めて成立する。
ChatGPTの契約とAPIの請求は別に考える
ChatGPTのプランを契約することは、APIを定額で無制限に利用できることを意味しない。対話型サービスの利用枠と、APIキーで呼び出す処理の従量課金は別の管理対象である。Codexも、ChatGPTの契約で利用する場合とAPIキーで利用する場合では、対象機能や費用の管理方法が変わる。
個人が資料を読み、途中で方針を変えながら原稿を直すなら、サービス側の履歴やファイル操作が重要になる。毎晩数千件のデータを同じ手順で処理するなら、API側で再試行、失敗の隔離、支出の監視を設計する必要がある。単にチャット画面で動いた手順を、そのまま定期処理に転用すると、例外処理が抜け落ちやすい。
長文対応には、長文の料金がある
Astraの通常API料金は、短文側の区分で100万トークン当たり入力10ドル、出力50ドルである。入力が272,000トークンを超える場合は、長文側の料金になる。長い資料を毎回最初から渡す構成と、必要な部分だけ検索して渡す構成では、同じ成果物でも費用が変わる。
ここで確認すべきなのは、資料をどこまで短くできるかだけではない。短縮によって重要な例外や条件が消えれば、低い請求額と引き換えに誤った結論が増える。元の資料に戻れる参照位置を残し、必要な範囲を段階的に広げる作り方が現実的だ。
画像生成は別のモデル系統として見る
画像生成・編集にはGPT-Image-2.5 Sunburst、Flareなどが用意されている。文章を扱うモデルの世代番号が上がったことと、利用中の画面で使える画像モデルが変わることは、必ずしも同じ出来事ではない。契約するサービスとAPIモデルを、用途ごとに確認する必要がある。
OpenAIの現在地を読む軸は、単独の最高性能から、仕事の難度と処理量に応じた配分へ移っている。導入側も「何を使っているか」だけでなく、「どの工程に、どのモデルを、どれだけ使うか」を説明できる状態にしておきたい。