生成AI特集 / 実務・制作・管理 / 2026年9月14日確認
画像を作るAI、動画を理解するAI、音声を書き起こすAIは、同じ「マルチモーダル」という言葉で語られやすい。しかし、入力として読み取れることと、出力として生成できることは違う。制作の現場では、この区別を曖昧にすると、選んだサービスでは必要な成果物が作れないという事態になる。
2026年9月時点の主要な選択肢を、画像、映像、音声の工程に分けて確認する。見栄えの良い一枚や短いデモだけでなく、修正を重ねて納品できるかを評価したい。
| 工程 | 確認できる選択肢 | 検証するポイント |
|---|---|---|
| 画像生成・編集 | GPT-Image-2.5 Sunburst/Flare、Adobe Firefly | 文字、商品形状、編集後の一貫性 |
| 動画生成 | Gemini Omni Flashを使うGoogle Flow等、Runway Gen-4.5 | 尺、動き、素材の継続性、再生成費用 |
| 音楽生成 | Lyria 3.5 | 曲構成、歌詞、編集、利用条件 |
| 文字起こし | Gemini 3.5 Transcribe等 | 固有名詞、話者分離、時刻、聞き取れない箇所 |
| 画像・動画の理解 | 対応するGeminiや公開の視覚言語モデル | 入力形式、読み取り精度、参照位置 |
| 画像・映像の別系統 | Grok Imagine API | 対応する生成・編集機能と料金単位 |
画像は一度の生成より、修正のしやすさが重要になる
OpenAIのモデル一覧には、画像生成・編集向けのGPT-Image-2.5 SunburstとFlareが掲載されている。Sunburstは高い能力を求める生成・編集、Flareは日常的な画像生成の速度と品質を意識した位置づけだ。これは提供元の用途説明であり、個々の制作物での優劣は試作で確認する必要がある。
広告や記事用の素材では、背景を変えたときに商品の形まで変わらないか、日本語の表記が維持されるか、縦横比を変えても必要な要素が欠けないかを見る。最初の一枚が良くても、修正のたびに別の商品になるなら、実制作の負担は大きい。
評価用には、単体の商品、文字を含む図、複数要素の配置など、実際に使う場面を用意する。同じ修正指示を二回、三回と重ねて、保ちたい要素が残るかを確認したい。
動画は、短い単位で構成を決めてから生成する
Googleの日本向けAIプランには、Gemini Omni Flashを用いる動画生成の利用枠が案内されている。RunwayもGen-4.5の制作手順を公開している。ただし、提供形態、プラン、対象地域、クレジットの消費条件はそれぞれ異なる。
動画制作では、いきなり長い完成映像を求めるより、場面ごとの目的、画角、動き、つながりを先に決める方が修正範囲を限定できる。生成した映像の中に読めない文字や不自然な商品形状があれば、短時間でも用途を満たさない。
費用は生成秒数だけでなく、不採用になった試作、解像度の変換、編集、音声調整まで含めて見る。一度で成功したデモから、月間の制作費を推定するのは危険である。
音楽生成と音声認識は、別々に評価する
Googleは9月4日、Lyria 3.5をGeminiアプリとAPIで利用できると発表した。一方、会議や取材の音声を文章にする用途には、Gemini 3.5 Transcribeのような文字起こし向けモデルがある。音声を扱うという共通点があっても、必要な品質基準は異なる。
文字起こしでは、誤認識の総数だけでなく、社名、人名、金額、否定表現の誤りを分けたい。取材で「実施しない」が「実施する」になれば、一語の違いでも記事全体の事実関係が変わる。音声に戻るための時刻情報と、確認が必要な箇所を残すことが重要である。
生成音声を外部に使う場合は、声の使用許諾や、実在する人物と誤認されない表現も確認する。読み上げ品質の高さと、利用してよい素材であることを別々に管理したい。
商用利用可能と、権利確認不要は同じではない
AdobeはFireflyの商用利用条件を案内し、Runwayも自社サービスで生成したコンテンツの商用利用について説明している。ただし、こうした許可は、入力した写真やロゴ、人物の肖像、第三者の著作物について、利用者が行う確認を不要にするものではない。
また、一つの制作サービスの画面内で別会社のモデルを選べる場合、サービス名だけでは適用条件を判断できない。利用したモデル、契約プラン、入力素材の出所、生成日、必要な許諾を案件単位で残す。個別案件で法的判断が必要なら、適用される規約と専門家の確認を前提にする。
報道で使う画像は、実写と生成物を混同させない
イベントの実際の会場、人物の発言、製品の現物を伝える場面では、生成画像を事実の記録のように置くべきではない。概念を説明する図やイメージとして使う場合は、その性格が読者に伝わるようにする。
生成AIは制作の選択肢を広げるが、何が現実の記録で、何が説明のための表現なのかを編集側が管理する仕事は残る。見栄え、修正、費用、権利、事実性を同じ制作工程の中で確認できるかが、実用性を決める。