宅配寿司チェーン「銀のさら」を運営する株式会社ライドオンエクスプレスが、事業活動によって排出した CO²の一部をカーボン・オフセットする目的で、岩手県洋野町が実施するブルーカーボンに関する「増殖溝」を活用した藻場の創出・保全活動に対する「Jブルークレジット®」10[t-CO2]分を購入。2024年7月31日に認証された。
ブルーカーボンとは、海洋生態系が大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、炭素を貯留する自然のプロセスのこと。近年、地球温暖化対策として注目されている。
同プロジェクトの背景には、同社が重視する「生物多様性の維持」の課題が。今回の出資は、その理念を具体化するための一環として行われたという。
先人たちの知恵が詰まった「ウニの増殖溝」の新たな価値
岩手県洋野町は、全国でも有数のウニの水揚げ量を誇る地域。洋野町では約50年前、干潮時に海藻が育たない岩場に溝を掘り、昆布やワカメを育てることでウニの養殖を行う「増殖溝」が作られている。
光合成を通じてCO²を吸収する藻場は、炭素を貯留することで脱炭素にも寄与。これまでに3,753[t-CO2]が認証されており、国内でも最大級のブルーカーボン認証量となっている。ウニの増殖溝は、地域の経済と環境保全の両方に資する存在となっている。
洋野町の資源保護への取り組み
今回、洋野町が認証した3,753[t-CO2]の「Jブルークレジット®」のうち、10[t-CO2]分を購入した同社。この購入には、洋野町の水産資源保護と地域の持続可能な発展に寄与する目的があるという。
7月17日に洋野町を訪問した同社の担当者は、町長の岡本正善氏、副町長の林剛敏氏から、増殖溝の歴史や地域の水産資源に対する思いなどをヒアリング。「先人の知恵による増殖溝が育んできた大切な天然資源」を守るサポートが出来るよう、今後も積極的に関与していくとした。
「洋野町のウニの増殖溝は、世界的にも珍しいもの」
今回の取り組みを受け、洋野町町長の岡本正善氏は「50年以上前に先人の知恵から生まれた洋野町のウニの増殖溝は、世界的にも珍しいものです。ウニや海産物の安定供給のために作られたこの増殖溝が、現在、ブルーカーボン事業として改めて魅力を見出され、今回のような支援をいただけることにとても感謝しています」とコメントを発表。
同社の「ウニの増殖溝」を活用したブルーカーボン事業の取り組みを注視したい。