ビジネス・スウェーデン、在日スウェーデン大使館が主催する「Pioneer the Possible日本における紙容器のリサイクルと自治体による回収の未来、および資源自律型循環経済への移行に関する業界フォーラム」が9月7日、赤坂インターシティで行われた。共催は日本テトラパック。
リニア経済からサーキュラーエコノミーへの転換が急務
プレゼンテーションとパネルディスカッションに、日本テトラパック、経済産業省、環境省、神奈川県座間市、明治ホールディングス、コアレックス信栄、イオンが参加し、政策アナリストの石川和男氏が進行を務めた同フォーラム。開会挨拶で、経済産業省 産業技術環境局長の畠山陽二郎氏は、リニア経済からサーキュラーエコノミーへの転換が急務であると指摘。多様なステークホルダーとの連携により、より自律化させた国内資源循環システムで国際市場を獲得することの重要性を指摘した。
飲料用の紙容器がサステナブル社会を実現する資源に
続いて、日本テトラパック代表取締役社長のアレハンドロ・カバル氏が登壇。紙容器の繊維が既存の技術で十分にリサイクルできる潜在資源であることに加え、約20万トンが回収されていない国内の現状を指摘。サステナブルな社会を実現するための新たな製品を生み出す資源として、飲料用の紙容器を活用する必要性を訴えた。
サーキュラーエコノミーの実現には、ものづくり、消費者、自治体、リサイクル事業者が連携を
経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課長の田中将吾氏は、サーキュラーエコノミーの実現には、ものづくり、消費者、自治体、リサイクル事業者の連携が重要であると指摘。神奈川県座間市 くらし安全部 リユース推進課 リユース推進係長の中嶋康仁氏は、「アルミ付き容器リサイクルの可能性」と題し、ショッピングセンターを展開するイオンモールと再生紙メーカー・コアレックス信栄との協業事例を紹介。フードコートで発生する紙ごみの資源化などについて、取り組みを紹介した。
プレゼンテーションのパートでは最後に、明治ホールディングス 執行役員 サステナビリティ推進部長の松岡伸次氏が登壇。本来、リサイクル可能な紙容器が、リサイクル業者の設備能力不足などにより、多くの自治体で焼却や埋立処分になっている現状を語った。
アルミ付き紙容器の回収ルート構築が不可欠
続けて行われたパネルディスカッションでは、プレゼンテーションでの内容を踏まえて議論。日本テトラパック サステナビリティディレクターの大森悠子氏は、アルミ付き紙容器は3.4%しかリサイクルされておらず、そのほとんどが燃えるゴミとして焼却されているのが現状だとして、すでにリサイクル技術が整備されているアルミ付き紙容器の資源化の重要性を指摘。今後、アルミ付き紙容器の回収ルート構築が不可欠であると語った。
現時点での課題と今後の展望が明確にされた同フォーラム。資源自律型循環経済の実現には、行政と民間の緊密な連携が求められている。