2025年12月のコラムを2026年10月27日に訂正しました。旧版の利用者数の増減、社内メモ、開発コードネームに関する説明は十分な根拠を示せないため取り下げ、事業構造についての分析に改めました。以下は、企業の内部事情を確認した取材記事ではありません。
生成AIの競争を、モデルが一つの試験で首位になったかどうかだけで判断すると、利用者がサービスを選ぶ理由を見落とす。仕事で継続して使われるためには、回答の質だけでなく、使える情報、既存の作業とのつながり、費用、確認の手間が関わる。
モデルと製品を分けて比べる
ChatGPTは製品名であり、そこで利用するモデルの名前と同じではない。製品同士の比較に、一方の新しいモデルと他方の古いモデルの評価だけを使うと、比較条件がそろわない。速度、推論、コーディングなど、何を測った評価なのかも確認が必要だ。
ChatGPTにはウェブ検索があり、検索結果や参照元を会話の中で確認できる。したがって、OpenAIの提供価値を「世界一賢いというブランドしかない」と整理するのは不十分だ。検索を提供することと、他社と同じ検索事業や収益構造を持つことも区別したい。
配布経路が強みになる条件
日常使う端末や業務ツールから利用できれば、使い始めるまでの手間は減る。この点で、既存の製品群を持つ企業には強みがあり得る。ただし、最初から利用できることだけで、継続利用や仕事での成果が決まるわけではない。
導入先の権限、社内情報の扱い、回答の検証方法、他のシステムへの移行のしやすさによっても選択は変わる。利用者が一つのサービスだけを使うとも限らない。用途ごとに複数を併用する場合も考える必要がある。
機能を増やす費用と、品質を維持する費用
新しい機能を追加すれば、開発だけでなく、保守や問い合わせへの対応、誤作動の確認にも負担が生じる。機能を増やすことと、既存の体験を安定させることには、資源配分の判断が伴う。ただし、公開資料から分からない社内判断を、競合への恐怖や経営の行き詰まりと断定することはできない。
無料や定額の提供にも、利用できる範囲や処理量の条件がある。利用者は月額だけでなく、作業が途中で止まる場合の対応、検証に要する時間、業務データの管理まで含めて比べたい。
先行した事実と、続けて選ばれる理由
先に普及したサービスが、そのまま勝ち続けるとは限らない。一方、競合が新製品を出したことだけで、それまでの顧客基盤や使い慣れた作業手順が消えるわけでもない。技術の変化と、製品を切り替える費用を分けて考える必要がある。
企業の競争力を見るには、モデルの評価、利用者の継続、提供費用、既存の事業とのつながりを継続して確認する。その複数の条件を、確認できた事実と分析を分けて追うことが重要になる。
(Zach Kerr)