生成AI特集 / 他社・公開モデル / 2026年9月14日確認
OpenAI、Anthropic、Googleを追うだけでは、生成AIの選択肢を捉えきれない。GrokやDeepSeekのように独自モデルを提供する系統もあれば、Microsoft CopilotやPerplexityのように、複数の技術を検索や業務の流れに組み込むサービスもある。これらを一列の性能ランキングにすると、何に対して料金を支払うのかが見えなくなる。
2026年9月時点で比較すべきなのは、回答能力だけではない。必要な情報へ到達できるか、既存の業務に入れやすいか、自社で運用条件を選べるかという三つの軸である。
独自モデルを選ぶ場合と、仕事の入口を選ぶ場合
| 提供元・サービス | 確認できる現行の例 | 選定上の着眼点 |
|---|---|---|
| Grok | Grok 4.6、Web Search・X Search | 最新情報を取得する経路と、検索を含む費用 |
| DeepSeek | V4.1 Flash、V4 Pro | 時間帯別料金、モデルの置き換え、運用条件 |
| Mistral | Medium 3.5、Small 4、OCR、Voxtral | 文書・音声処理と、モデルごとの運用形態 |
| Microsoft Copilot | Microsoft 365の業務アプリや組織データとの連携 | 既存の権限・文書管理との整合 |
| Perplexity | 検索、調査、回答に付く参照情報 | 根拠を開いて追跡できる調査の流れ |
| Moonshot AI | Kimi K3の公開モデル | ホスト型利用と独自運用を分けた検討 |
Grokは検索を含めた一件の費用を見る
Grokの公式API資料には、現行の主力としてGrok 4.6が掲載されている。入力が200,000トークン未満の場合、通常料金は100万トークン当たり入力2ドル、出力6ドル。長文側では単価が変わる。モデル自身の知識と、Web SearchやX Searchで取得する情報は分けて考える必要がある。
SNS上の反応を扱う場合は、投稿を多く集めることと、世論を正確に測ることを混同しないようにしたい。特定の言語や時間帯、検索語に偏った結果を集めれば、要約もその偏りを引き継ぐ。調査日時、検索条件、取得件数を記録し、企業発表や統計と突き合わせる手順が必要である。
X Searchには2026年9月21日から課金方式の変更が予定されている。検索を多用する用途では、モデルのトークン単価だけを見た試算は不十分だ。導入時と運用開始時の料金条件が違っていないか確認したい。
DeepSeekは古いモデル名のまま中身が変わる点に注意
9月14日確認の公式資料では、Flash系のAPI名はdeepseek-flashで、対応するモデルはV4.1 Flashとなっている。旧Flash系の名前も受け付けられるが、処理は新モデルに置き換わる。一方、V4 Proは9月14日以降も提供を継続すると案内されている。
同じAPI名で呼び出せることは、出力が以前と同じであることを保証しない。定型JSONの生成、分類ラベル、禁止語、回答の長さなどを使っている企業は、モデル更新後に代表的な入力を再試験する必要がある。低価格だけを理由に選ぶのではなく、更新時の検証に必要な手間も費用へ含めたい。
Mistralは文書・音声の工程からも検討できる
Mistralのカタログには汎用モデルだけでなく、OCRや音声文字起こしのモデルが並ぶ。紙の書類から情報を取り出し、整理して、担当者へ回す業務なら、最後の文章生成より前の工程が品質を左右する。汎用モデルの点数だけで比較すると、この部分を見落とす。
例えば請求書処理では、会社名と金額を読めるだけでは足りない。複数ページにまたがる明細、税率、訂正印、重複書類をどう扱うかまで確認する。OCR結果と元の画像を並べて確認できるか、読めなかった項目を空欄で返せるかといった、運用側の要件が重要になる。
CopilotとPerplexityは、モデルとは違う層の競争
Microsoft Copilotは、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなどの作業や組織内情報との連携を軸にする。公式資料では名称移行に伴い「Microsoft 365 Copilot」という旧表記も残っている。機能や契約を調べる際は、名称だけで別サービスと判断しないことが大切だ。
Perplexityはウェブ検索と参照情報を伴う回答を中心に、調査の入口として検討できる。ただし、参照が付いていることと、回答の全主張がその資料に裏付けられていることは別である。引用先の発表日、対象地域、数値の定義を開いて確認する工程は残る。
複数サービスを契約するなら、役割の重複を減らしたい。「情報を探す」「社内資料を確認する」「文章やコードを作る」「最後に確認する」という工程ごとに担当を決めると、追加契約の意味が明確になる。選択肢を増やす目的は、有名なAIをそろえることではなく、今の業務で足りない工程を埋めることにある。