南国の楽園・ハワイの魅力について、日本ハワイアンビューティ協会がお届けする連載コラム「ハワイアンビューティのすすめ」。9回目となる今回はHawaiianBeauty公認インストラクター・葉山亜希さんによる「ハワイに受け継がれる“レイの文化”」――
大切な人をレイに例える歌
Weldon Kekauohaが歌うlei ho’ohenoという曲があります。
E ku’u pili aloha 私の大切な人よ
Ku’u lei kau po’ohiwi 私を彩るレイよ
Onaona i ka ihu 甘く芳しい匂い
Nohea i ka maka 見た目が美しい
Liliko i ka ua kilihune 風にのった水しぶきが煌めく
Kilipohe i ke kanilehua カニレフア(ヒロに降る雨)に濡れて
Wewelo ke aloha i ka ‘onohi 射し込んでくる愛すべき光
‘Ume’ume mai ho’i kau あなたは、なんと素敵なんだろう
E kahi lei ho’oheno 私の大切な人よ
大切な人をレイに例え歌うこの曲。フラダンサーのみならず、ご存知の方は沢山いらっしゃるとおもいます。優しくも力強い曲に私も特別な思い入れがあります。
5年前、私の母が他界した時に、お世話になった方が母の為にと踊ってくれたのが、この曲でした。踊りの中でレイをかける仕草があり、その様子がとても美しいのが印象的でした。周りで見ていた方たちも、何も事情は知らないのに自然と涙が出てきたと言っていたそうです。
数ヶ月後、初めてフラでソロを踊る事になった時、その方は私にこの曲をくださいました。当時、練習中に怪我をしてしまった為、あまり練習ができない中、周りに支えられながら出場する事が出来た私に「今日はあなたをここに立たせてくれた大切な人にレイをかける様に愛を込めて踊ってきて。」とアドバイスもいただきました。そして、踊りの後、会場で見てくれた友人が「今日はすごく感動した」と言ってくれたことに、とても嬉しい気持ちになりました。想いを込めた踊りは、拙くても、相手にも周りにも確かに伝わるのです。
レイを贈る習慣
ハワイの人たちは、誕生日や結婚式などのお祝いや記念日、色々な儀式のたびにレイを身につけ、贈る習慣があります。首にかけてもらったレイの芳しい花の香り、その美しさは、愛に包まれているように暖かく幸せな気持ちになるものです。大切な人に愛や感謝の想いを込めてレイを編み贈る事は、私たち日本人が花束を贈る習慣とすごく似ていますね。
お花を選ぶ時に相手を想像して、イメージや状況にぴったりの物を選ぶ。その時の気持ちはとてもワクワクとしたものです。ハワイではスーパーなどでもレイが売られていますが、本来はその土地で採れるものを、使用する日の朝にチャント(祈り)を唱え、感謝の気持ちを伝えながら摘むそうです。そして、役目を果たしたレイは紐を解いて、自然にお返しします。
大切にしたいコミュニケーションの形
レイが輪の形をしている理由は、ALOHAの心が永遠に続きますようにという意味合いが込められているそうです。贈られたレイはマナが宿っている為、受け取ることを拒否してはいけない、見える場所で外してはいけないというルールも、なんだか日本人の持つ相手を思い遣る心と通じるものがある気がします。
ハワイでレイの文化が受け継がれているという事は、ハワイの人々が自然のマナを感じ、それらが自分たちに良い作用をもたらしてくれる事を知っているという事ですね。自然に日々感謝し、それを大切に守り続けているハワイの人々の心は、日頃、私たちが忘れている大切な感謝の気持ちを思い出させてくれます。
花に魅せられ愛を込めて贈るという習慣は、私たちに与えられた美しいコミュニケーションの形。この大切な習慣を、私も意識的に日常に取り入れ、そして伝えていきたいと思います。
葉山 亜希(Hwaiian Beauty公認インストラクター)
葉山さんらHawaiian Beauty公認インストラクターがレクチャーする「ハワイアンビューティリーダー講座」は、都内および横浜で開催中です。詳しい講座スケジュールはこちらでご確認ください。