【セミナーレポート】患者1000人への調査で浮き彫りになった「アトピー性皮膚炎による社会生活への影響」

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 2021年4月16日、アッヴィ合同会社がプレスセミナー「アトピー性皮膚炎による患者さんの生活や対人関係への影響 ~患者さん1,000人を対象にした疾病負荷 調査結果を発表~」を開催。アトピー性皮膚炎患者が日常生活で直面している切実な課題が浮き彫りとなった。

「成人アトピー性皮膚炎 疾患の理解・社会の理解」

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 最初に行われたのが、地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター 副院長兼主任部長 アトピー・アレルギーセンター長の片岡葉子先生による「成人アトピー性皮膚炎 疾患の理解・社会の理解」と題したオンライン講演。

 アトピー性皮膚炎について、全人口の5~30%と罹患率の高い疾患であることに加え、重症化すると心身の健康や社会生活の障害となると語る片岡先生。

 さらに、乳児アトピー性皮膚炎に顕著なすべてのアレルギー素因の始まりとなる「アトピーマーチ」や、遷延・重症例が少なくなく治りにくいことも指摘し、軽視できない疾患であると説明する。

 続けて語られたのが、アトピー性皮膚炎による社会生活の難しさ。重症アトピー性皮膚炎の30代男性へのヒアリングから「症状の悪化により仕事を途中でほうりだしたことがある」「ひとりのときに声を出して自分を責めている」といった当事者の悩みを紹介。

 さらに、アッヴィ合同会社が今年2月に20歳以上のアトピー性皮膚炎患者1000人(男性50%、女性50%)を対象にインターネット調査を実施し、片岡先生が調査監修を担当した「アトピー性皮膚炎が生活に与えている影響に関する意識調査」の結果について説明した。

 今回の調査では、重症な患者であるほど症状や日常生活などの負担やストレスについて「周囲の理解が得られていない」と感じる割合が高いことや、6割以上の患者がアトピー性皮膚炎が原因で「恋愛・結婚・子どもをもつこと」に対して不安・悩みを抱いたことがあることが判明。

 片岡先生は「適切に治療することで症状のない状態を長く保つことが期待できる。それによって患者さんの疾病負荷を減らし、いままで理解されていなかった患者さんたちを救い出すことが可能だと考えている」と締めくくった。

「患者さんの苦しみや患者さんとの関り方を体験談から学ぶ」

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 続いて、東京逓信病院皮膚科客員部長、あたご皮フ科副院長 江藤隆史先生による「患者さんの苦しみや患者さんとの関り方を体験談から学ぶ」と題したレクチャー。

 アトピー性皮膚炎の合併症により視力を失った50代男性の体験談が司会者から紹介されると「本当に重症の方はものすごく苦労されている。『ただの湿疹でしょう』『アレルギーマーチでまた治るでしょう』というような、そういう形で見られているところが、皆さんの認知がまだ十分ではないと感じています」と世間でアトピー性皮膚炎への理解が不足していることを指摘した。

「ステロイドや治療法に対する誤解がいまだ続いている」と強調した江藤先生。「科学的裏付けの弱い情報に基づく治療の選択によって症状の悪化だけでなく生活に深刻な影響を及ぼすこともある」として「患者さんにとっては適切な治療たどり着くこと、周囲のことにとっては正しい疾患の知識を持つことがアトピーのこれからにはとても重要です」と語った。

“知られているようで実はあまり知られていない”アトピー性皮膚炎。社会全体にとって患者が直面している切実な悩みを共有することが求められている。

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